町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。
今回は、外部の支援機関をフル活用して、IoTシステムを自社開発した事例を紹介します。
外部支援機関を活用してIoTを自社開発
背景
大阪府にある上田製袋株式会社は、従業員数27名の企業で、医療用滅菌バッグを製造しています。
同社の社長は、製造現場へのIoT導入に関する報道などを目にする中で、自社にIoTを導入した場合、どのような効果があるのか具体的にイメージできずにいました。
そんな折り、大阪府のホームページで「IoT推進ラボ事業」の存在を知った社長は、同事業のキックオフセミナーに参加し、「IoTを比較的安価にはじめることができるリーンスタート(小さくはじめて仮説検証で育てる)という方法がある」ことを知りました。
引き続き、同事業のIoT診断を受け、そこで提案された「低コストな手作りでのシステム採用」を実際に実行してみることにしました。
取り組み内容
同社では、社員を巻き込んで、社内に「IT推進委員会」を組織しました。そしてIoTデバイスを自作し、シーリング機に取り付け、稼働状況の見える化を実現しました。
IoTデバイスは、数千円の市販マイコンボードに光センサーと無線発信機を組み合わせて実現しました。
実施においては、IoT推進ラボ事業とも連携する「スマートものづくり応援隊」の指導も活用しました。
測定したデータを可視化するソフトウエアの開発など、一部の項目はIT事業者に委託しましたが、委託事業者も同事業のIoTマッチングで紹介を受けました。
効果
IoTシステムを実際につくることで、原料であるプラスチックフィルムの残量確認や生産枚数の把握といった稼働状況の「見える化」に、IoTが活用できることを確信するようになりました。
今では、すべての製袋機の稼働状況が出先からでもタブレットで確認できるようになってます。社員にもタブレットの活用が少しずつ進んでおり、「当社は進んでいる」との意識がモチベーションの向上にもつながっているそうです。
ポイント
- リーンスタートで、自社でIoTシステムを自作した点
- 情報収集から実際の開発にいたるまで、外部の支援機関を十分に活用している点
中小企業のIoT導入においては、「導入方法がわからない」、「投資対効果が見えない」、「社内にITの専門家がいない」というような、さまざまな阻害要因があります。
このような阻害要因に対し、外部の支援機関も活用し、リーンスタートですすめることで、IoT導入の取り組みを現実のものにすることができます。
(出典)
- インプレスDIGITAL X