IoTを使った「タンニン鉄」によるネギの生育実験

知り合いの方から、「タンニン鉄」というものの話をうかがいました。

鉄などのミネラルは、人間の体にとって大切なものですが、鉄は土の中に大量に含まれているにもかかわらず、作物には吸収されにくい状態になっているそうです。
それに対し、鉄をお茶に浸けると、お茶の中の「タンニン」の働きにより、鉄がお茶の中に溶け出し、作物に吸収されやすい状態になるとのことです。
お茶はもともとミネラルが豊富ですが、タンニンと反応して鉄分も増えることで、それを作物に与えると、作物の栄養価が高くなったり、大きく育ったり、アクやエグ味が消えたりと、良い影響がたくさんあるそうです。

このお茶に溶けた状態の鉄を「タンニン鉄」と呼びます。
「タンニン鉄」は、京都大学の野中鉄也先生が提唱されておられるものです。
(タンニン鉄については、以下の雑誌に詳しく書かれています。)


今回は、このタンニン鉄を使って、ネギを育ててみようと思います。

先日、「M5Camera」というIoTデバイスで、タイムラプス動画を撮影できるようにした(記事は こちら)ので、それを使ってネギの生育状況を撮影します。
(なお、私は農家ではなく、農業についての知識はありません。スーパーで買ってきたネギの根元の部分を土に差して、育ててみただけです。)


まずは、タンニン鉄を作ります。

使い捨てカイロとパック入りの茶葉(今回はほうじ茶)を使います。これらを混ぜて水を入れます。

1日放っておくと、以下のように水が真っ黒になります。
比較のため、茶葉だけ、カイロだけのビンにも水に入れておきました。両方入れた水だけが真っ黒になっているのがわかります。これが「タンニン鉄」です。

次に、半分に切ったペットボトルの底に小さい穴をいくつかあけ、土を入れます。
スーパーで買ってきたネギの根元の部分を土に差します。同じものをふたつ用意し、一方にはタンニン鉄、もう一方には水をやります。

2、3日おきにタンニン鉄、または水をやり、2週間ほど置いておきます。

「M5Camera」を以下のようにセットし、10分毎に写真を撮影します。

撮影した多数の画像を連結して、タイムラプス動画を作りました(夜間の暗い時間は飛ばしています)。

あきらかに育ち具合が違います(水だけを与えた方が早く育っています)。

2週間ほど置いておくと、水やりの頻度が少なかったのか、両方ともしおれてきました。
この状態で、ネギを土から取り出し、根っこの状態を確認しました。

根っこはあきらかに、タンニン鉄を与えたネギの方がしっかりしています。

実は、同じ実験をもう一度やったのですが、やはり生育は水だけの方が早く、根のはり具合はタンニン鉄の方がしっかりしていました。

良いか悪いかはともかく、タンニン鉄による作物への影響は、確かにあるようです。

追記

芽が出たばかりのパクチーについても、同様の実験を行いました。
記事は こちら


このサイトで書いている、M5Stackシリーズ(M5Stack、M5StickCなど)に関するブログ記事を、「さとやまノート」という別のブログページに、あらためて整理してまとめました。

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