「藁づと納豆」づくりに向けて納豆の保温方法を実験

今月末に、「藁づと納豆」をつくる体験ワークショップに参加することになりました。

「藁づと納豆」というのは、古くから行われてきた納豆の伝統的な製法です。
蒸した大豆を稲わらで包むことで、わらに付着している納豆菌が大豆に移行し、それが増殖・発酵することで納豆ができあがるそうです。

知り合いの方が、無農薬・手作業で米づくりを行なっており、質の良い稲わらがあるので、今回、このようなワークショップを開催することができることになりました。

さて、大豆をわらで包んだあとは、40度程度に保温して、数日置いておく必要があります。
保温する手段は、お湯を入れたペットボトルと一緒にくるむ、コタツの中に入れるなど、いくつかあるようですが、どんな方法が最も簡単に40度をキープできるか、本番前に実験してみることにしました。

実験にあたり、温度センサとマイコン(ESPr Developer)を使って、簡単なデバイスを作ってみました。



このデバイスは、5分毎に温度を測定し、測定データをWebサーバに送信します。
パソコンやスマホのWebブラウザでサーバにアクセスすると、現在の温度とこれまでの温度の推移を確認することができます。
こんな感じで温度を確認できます(これは、とある日の夜から朝にかけて外気温を測定した結果です)。

また、温度が38℃〜42℃の範囲を外れた時には、メールで知らせてくれます。

なお、このデバイスの測定温度の確からしさを確認する適当な方法がありません。
とりあえず、デジタル式目覚まし時計に付属している温度計(3台)と比較したところ、そこそこ近い結果になっていたので、これでOKとしました。

デバイスは、このように容器に入れておきます。

まず最初に、コタツの中の温度を測ってみました。
結果は以下のとおりです。

当たり前ですが、一定の温度をキープすることができています。
ただ、温度は35℃前後です。さすがに40℃というのは、コタツの温度としては高すぎます。コタツで発酵させるためには、人には暑すぎるぐらいの温度に設定して、1日以上つけっぱなしにしておかなければなりません。

コタツ以外で良い方法はないか?ということで、次にクーラーボックスに湯たんぽを入れて、温度を測ってみました。
お湯が1.5L程度入る湯たんぽに、70℃程度のお湯を入れます。

それらを容量15Lのソフトクーラーボックスに入れ、しばらく温度を測定しました。

このような感じで、湯たんぽをタオルでくるみ、湯たんぽが直接デバイスに触れないようにしています。

結果は以下のとおりです。

一旦は40℃近くまで上昇しましたが、その後は1時間あたり2.2℃ずつ、温度が下がっていきます。
これでは頻繁にお湯を入れ替えなければならず、このまま実現するのは難しそうです。

次に、クーラーボックスに使い捨てカイロを入れてみました。
使い捨てカイロを2個入れた時の結果は以下のとおりです。

温度は30℃程度までしか上がりませんでした。

ここまでの調査では、湯たんぽを使うのが一番よさそうです。ただ、温度が下がるのが早すぎるので、お湯の量を増やしてみます。
湯たんぽの代わりに、2Lのペットボトル2本(合計4L)に70℃程度のお湯を入れ、クーラーボックスに入れました。

結果は以下のとおりです。

一旦40℃以上まで上昇し、その後は1時間あたり1.3℃ずつのペースで温度が下がっています。
これであれば、一日に数回お湯を入れ替えるだけで、なんとかなりそうです。