業種毎のIoT実施例

前項は こちら


前の項でも説明したとおり、さまざまなモノが、人の介在なしにインターネットとつながり、データをやりとりすることで、新しい価値を生み出すのがIoTです。

 

データを入力することで、役に立つ結果(情報)を出力するのですが、その際、データを情報に変えるには処理が必要です。IoTでは、この「入力」→「処理」→「出力」の一連の流れを行います。

人の介在なしにデータを入力できることで、見えなかったものが見えるようになり、盲点に気づくことができます。これを「データの可視化」といいます。

 

このような観点で見た、業種毎の、主なIoTの実施例を以下に挙げます。

  • 電気、ガス:スマートメーターによって、家庭での電気、ガスの使用量を自動で検針し、データを自動送信します。検針のための、人の訪問が不要になります。
  • セキュリティ:住宅やオフィスを、人感、カメラ、火災、開閉、衝撃などの各種センサで監視し、異常時にはデータを自動送信します。高齢者、子供、ペットなどの見守り(位置情報照会)も、サービスに含まれつつあります。
  • 工作機械(機械メーカー側から):自社製品の保守、運用管理を効率化、高度化するために、顧客の工場に設置された自社製品をネットワーク化します。遠隔監視により、メンテナンスの負荷軽減やリードタイムの短縮が図れます。
  • 工作機械(機械ユーザ側から):自社生産ラインの管理、運用をシステム化、高度化するために、機械をIoT化します。製造ラインや工程を対象とした「見える化」が目的です。どの機械がボトルネックになっているか?緊急の割り込みオーダによってどのような影響が出るか?などを把握します。また、生産計画、設備計画に目配りできるようになります。
  • フィールド系産業機械(建設機械・農業機械・原動機・ポンプなど):利用実態や周辺環境などの把握を行い、盗難対策、燃費管理、稼働率管理、障害監視、安全管理などを行います。遠隔制御や自動運転に向けた取り組みも始まっています。
  • 自動車:運転情報(位置、速度、空気圧など)や交通情報(渋滞情報など)などを収集し、運転支援(自動ブレーキなど)、故障診断、マーケティング支援(ドライバの行動パターンを収集)などを行います。
  • 公共交通機関(電車、バス):車内にセンサを設置して、運行状況(定時、遅延)などを収集、発信します。プラスアルファのサービスとして、ユーザへの情報発信(事故、混雑状況、車内温度など)も始まっています。
  • 車両運行管理:トラックなどの運行データを集約し、データを元に安全のための情報提供(危険兆候運転を監視、ハザードマップ通知など)を行います。
  • 不動産:セキュリティ監視(入退室管理、侵入者監視)、エネルギー管理(照明、空調などの最適化)、居住環境管理(入退室管理と空調管理を連携した温湿度管理)などを行い、建物の付加価値を高めます。
  • 小売:ビーコンにより、顧客の動線を把握し、購入結果と紐づけることにより、顧客の購買パターンを収集、蓄積し、売上増のための取り組みに活用します。
  • 自動販売機:商品の在庫管理を行います。また、エリア内の複数の自動販売機の在庫情報を集約して、最も効率的な補充ルートを決定します。
  • 事務機(プリンター・コピー):サプライ品の管理や故障診断などを行います。
  • ヘルスケア:生体情報(体温、心拍数、血圧など)をモニタリングや、服薬管理などが始まっています。
  • ペット:GPSや運動センサによる見守り、状態の監視(水槽の水温管理など)、自動給餌などを行います。
  • 一般消費財:ネットワークにつながる腕時計、メガネ、トイレなど、さまざまなサービスが生まれています。
  • 第一次産業:環境の把握(温度、湿度、水分量、照射量、カメラなど)、家畜の個体管理(位置、体温、運動量)、セキュリティ監視(対人、対害獣)、機器管理(給餌、給水)などを行います。
  • 社会インフラ:気象情報を観測するための各種センサなどが活用されています。センサを使って、道路や橋などの劣化を予知するための取り組みも進められています。

その他、ドローンによる保守管理や宅配、カーシェアリングなど、さまざまなシーンでIoTが活用、計画されています。

 

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