前項は こちら。
IoTを導入するにあたり、まず注意しなければならないのは、セキュリティの問題です。
パソコンやスマホと同様、IoTもサイバー攻撃の対象となります。
完全な解決は不可能ですが、少なくともパスワードの適切な設定は不可欠です。その他、実現可能な手段として、IoTのシステム構成を、機能分散型にすることが考えられます(最低限の情報だけをインターネットで共有する)。機能を1箇所に集中するほど利便性は拡大しますが、その分、セキュリティ確保は困難になってしまいます。
Webカメラがハッキングされるなどの事例も発生しています。プライバシー保護の観点からも、セキュリティ対策は重要です。
技術面については、IoTでは必要となる技術が広範なことが挙げられます。
IoTは、必要となる技術分野が多岐にわたるため、エンジニアにとって敷居が高いといえます。
IoTを自社開発する場合は、従来の開発よりも、より広い視野と見識を持って、開発にあたる必要があります。ハードウエア技術者とIT人材の連携も必要となります。また、IoTで変革を進めるための、先見性と専門知識を持つ人材の育成も必要になると考えられます。
IoTを他社から導入する場合も、IoTに関わる技術分野に関して、ひととおりの知識を持っておくことが望ましいでしょう。
最後に、IoTを導入するにあたっての心構えについてです。
IoTを導入できない企業は、
- 現状を良しとしている企業(変化の必要はないと考えている企業)
- 最初の一歩を踏み出せない企業(課題はあるが、ITへの理解度が低く、IoTが打開策になると考えていない企業)
- 開発環境を外部に公開したくない企業
です。
しかし、これからの時代は、主体が「モノ」から「コト」に変わっていくといわれています。「コト」に価値がうつり、「モノ」は「コト」を実現するための単なる手段となります。ビジネスモデルが変わってしまう可能性もあり、トップの頭の切り替えが必要となります。IoTは「コト」を生み出すきっかけとなり得るため、今のうちから、IoTについて理解しておくことに意味があります。
また、IoTはスモールスタートが可能ですが、一過性ではなく、継続した取り組みが重要です。すぐには効果が見えにくく、社内の評価も高まりにくいため、取り組みを継続するにはトップの強い意志が必要です。
使うか使わないかはともかく、IoTを理解しておくことは必須といえます。「百聞は一見に如かず」といわれるように、まずIoTを導入して、メリットや可能性を実感してみるのも意義のあることです。メーカーなら、稼働機器の「見える化」などからスタートするのが最適でしょう。
目次は こちら。