マイクロビットを使ってみる 〜電子回路(発電)

マイクロビットには、他の電子部品をつなぐための「入出力端子」があります。
ワニ口クリップやネジをつかって、マイクロビットと他の電子部品をつなぐことができます。

ここでは、「モーター」や「ソーラーパネル」を使って「発電」してみます。
また、「モーター」や「ソーラーパネル」をマイクロビットにつなぎ、発電できていることをマイクロビットで確認します。


発電方法の種類

こちらは、日本とEUにおける発電方法の割合です。

いろいろな発電方法があることがわかります。

それぞれの発電方法のしくみは以下のとおりです。

この表のとおり、太陽光発電以外では「発電機」を使って発電しています。
また、太陽光発電では「太陽電池(ソーラーパネル)」を使って発電しています。

発電機について

図のように、コイル(どう線をまいたもの)の中で磁石を回すと電気ができます。これが「発電機」です。

また、コイルと磁石の位置関係を逆にして、磁石の中でコイルを回しても、同じように電気ができます。

どちらにしても、発電するためには、磁石(コイル)を回すためのエネルギーが必要です。
このエネルギーに何を使うかによって、先ほどの「火力発電」「原子力発電」「水力発電」など、さまざまな発電方法に分類されます。

発電機とモーター

じつは、「発電機」と「モーター」のしくみは同じです。

「発電機」「モーター」ともに、コイルと磁石でつくられています。
磁石の中にコイルがありますが、なんらかのエネルギーをつかってこのコイルを回すと電気ができます(=発電機)。
これに対し、コイルに電気を流すとコイルが回ります(=モーター)。

つまり、普段つかっている工作用のモーターでも、発電機として使うことができます。

モーターで発電してみる

ここでは、スイッチサイエンスで販売されている「FEETECH FT-DC90 ハーネス付きダブルシャフトギアドモーター(SKU 7492)」というギア付きモーターをつかって発電してみたいと思います。

以下のように、ギア付きモーターのじくに取っ手となる「わりばし」を取り付けます。

2本のわりばしでモーターのじくをはさみ、結束バンドでしっかり固定します。
この取っ手を指でクルクル回すと発電できます。

マイクロビットを電圧メーターにする

モーターできちんと発電できていることをマイクロビットで確認するために、マイクロビットを「電圧メーター」にしてみたいと思います。

マイクロビット用プログラムは以下のとおりです。

マイクロビットの1番ピンの電圧を、棒グラフで表示します。
1番ピンの電圧が高いほど、LEDがたくさん点灯します。

次に、モーターとマイクロビットをつなぎます。

マイクロビットにの入力端子に入力できる電圧は0〜3Vです。マイクロビットに高すぎる電圧、低すぎる電圧が入らないように、抵抗やダイオードを使って以下のような回路にします。

この状態でモーターの取っ手を回すと、マイクロビットのLEDが光ります。これで発電できていることが確認できます。
また、取っ手をはやく回すほど、LEDがたくさん光ります。これで、はやく回すほどたくさん発電できることが確認できます。

なお、ここでは、モーターで発電できていることをマイクロビットをつかって確認していますが、モーターで発電した電気でマイクロビットが動いているわけではありません。その点について間違えないようご注意ください(マイクロビットは電池で動いています)。

ソーラーパネルについて

ソーラーパネルは、種類のちがうふたつの半導体を重ね合わせてつくられています。
ソーラーパネルに太陽の光があたると、一方には[+]の粒子が、もう一方には[-]の粒子があつまります。
[+]と[-]には、元にもどろうとする力があるので、どう線をつなげるとそこに電気が流れます。

ソーラーパネルの特性

ここでは、秋月電子通商で販売されている「携帯機器用ソーラーモジュール 300mW(M-16017)」というソーラーパネルをつかいます。

ソーラーパネルには、最も効率よく発電できる電圧と電流の組み合わせがありますが、その組み合わせの時の発電電力が、そのソーラーパネルの「最大出力」になります(電力(W)=電圧(V)×電流(A))。

ちなみに、一般的な家庭の屋根によく設置されているソーラーパネルの最大出力は「3000〜5000W程度」だそうです。
これに対し、今回使用するソーラーパネルの最大出力は「0.3W」で、家庭の屋根に設置されているものの「1/10000程度」の出力です。

ソーラーパネルをマイクロビットにつなぐ

先ほど、モーターとマイクロビットをつなぎ、モーターで発電できていることをマイクロビットで確認しましたが、同様に、ソーラーパネルで発電できていることをマイクロビットで確認してみます。

先ほどの回路で、モーターの代わりにソーラーパネルをつなぎます。他のつなぎ方はモーターのときと同じです。

この状態でソーラーパネルに光をあてると、マイクロビットのLEDが光ります。これで発電できていることが確認できます。
また、明るい光をあてるほど、LEDがたくさん光ります。これで、明るいほどたくさん発電できることが確認できます。

電化製品の消費電力

参考までに、家庭でよく使われる電化製品の消費電力は以下のような感じになります。

この表から分かるように、一般家庭の屋根に設置しているソーラーパネル(3000~5000W)なら、複数の電化製品を同時に使用することもできそうです。
それに対し、今回つかったソーラーパネル(0.3W)では、マイクロビットぐらいならなんとか動かすこともできそうですが、工作用モーターを回すのはきびしいくらいの感じです。

このように、ソーラーパネルでなんらかの電化製品を動かそうとすると、「ソーラーパネルをたくさん設置して、発電する電力をふやす」か、「省エネ型製品をつかうなど何らかの工夫をすることで、消費する電力をへらす」かどちらかの対応が必要になります。


なお、私がマイクロビットの使い方を習得するのにあたっては、以下の書籍を参考にさせていただきました。


初心者向けから、比較的高度なものまで、さまざまな情報が記載されているだけでなく、子供向けの作例も多数掲載されていますので、「プログラミング教育」のための題材さがしなどにもおすすめです。


このサイトで書いている、マイクロビットに関するブログ記事を、「さとやまノート」という別のブログページに、あらためて整理してまとめました。

他のマイクロビット記事にも興味のある方は「さとやまノート」をご覧ください。