100円ショップの「センサーライト」を改造する

知り合いの方から畑の一画をお借りして、「自然農」での野菜栽培を体験中です。

実は先日から、畑に小動物が侵入しているような形跡があります。
赤くなりはじめたイチゴの実がいつの間にかなくなっており、「ハクビシン」の仕業ではないかと疑っています。近隣の農家の方からも「イチゴが全部やられた!」という話をたくさん聞いています。

この小動物の侵入を、なんとか「Timer Camera」で撮影できないかと考えています。
以前も似たようなことをやったことがあるのですが(記事は こちら)、この時は比較的大型のソーラーパネルなどをつかってカメラデバイス(当時は「M5Camera」を使用)を常時稼働させていました。これをもっと低電力化し、小型のソーラーパネルで動くようにしたいと目論んでいます。

以下のような仕様のものをつくりたいと思います。

  • 夜間、人感センサが反応したときだけカメラが写真を撮影する(昼間は人感センサが誤検知する頻度が高く、それにより電力消費が増大する。ハクビシンは夜行性のため、動作期間を夜間のみに限定することで誤検知の頻度を下げる)。
  • 最小の撮影間隔は30秒とする(獣がカメラの前にずっといても、30秒に1枚しか撮影しない)。
  • 写真撮影時のみ、1〜2メートル先を照らせる程度の小型のLEDライトを点灯させる。
  • 写真撮影時以外はカメラ自体の電源を落とすことで低電力化する。

ここでは、上記仕様のシステムをつくるための人感センサについて検討します。

以前、同様のシステムをつくったときには、一般的な人感センサ(Panasonic EKMC1601111)をカメラデバイスにつなぎ、マイコンでセンサの信号を読み取って動物の接近を検知していました。
このセンサは、動物の接近を検知したとき、頻繁に「High」「Low」の信号変化を繰り返します。マイコンで信号を読み取る場合は、このような信号の瞬時変化があってもプログラム次第でうまく処理できますが、今回は信号を受ける側の都合で、動物を検知した後は一定期間「High」を維持してほしいと考えています。
このような処理を行ってくれる人感センサ用制御ICなどもあるようですが、データシートを見るといくつもの外付け部品が必要なようで、工作するのもそこそこ面倒そうです。

何かもっと簡単で良い方法はないかと考えていたところ、百円ショップ(ダイソー)で「センサーライト」という商品を見つけました(330円の商品です)。
人が近づき、なおかつ暗い時のみ、その後30秒間継続してLEDライトが点灯するというものです。また、購入して試してみたところ、LEDライトは結構明るく、1〜2メートル先までであれば十分照らすことができそうです。
上記の仕様に合致しており、今回の用途にピッタリです。

このセンサーライトを、想定しているシステム構成で使えるように改造したいと思います。
具体的には、元々は人感センサ(+照度センサ)のセンサ出力信号によってLEDライトの点灯が制御されるようになっているものを、センサ出力信号のところで人感センサとLEDライトを切り離し、

  • 人感センサのセンサ出力を外部に取り出す。
  • LEDライトの電源を外部から供給する。

ことができるようにします。

まずはケースを開けてみます。中はこのようになっています。

人感センサ基板、LEDライト、スイッチ、電池ボックスの配線を切り離します(LEDライトのマイナスと人感センサ基板の間の配線のみ、切断せずに残します)。今回はスイッチと電池ボックスは使いません(電池ボックスはケースとしてのみ使用)。

人感センサ基板には「Q1」と書かれている箇所にトランジスタが取り付けてあります(「J3Y」と印字されています)。

このトランジスタが人感センサの出力信号によってLEDの点灯を制御していますので、このトランジスタを取り外し、端子のあった箇所のうちICにつながっているところに配線をはんだづけします。これが人感センサの出力です。

あとはこれらの信号を外部に取り出すだけです。
今回は手元にあったGROVEケーブルを使って信号を取り出すことにします。人感センサ基板の「K2」「K3」をGROVEケーブルの「黒」に、人感センサ基板の「B+」をGROVEケーブルの「赤」に、LEDの「+」をGROVEケーブルの「白」に、先ほどトランジスタの代わりに取り付けた配線をGROVEケーブルの「黄」に、それぞれ接続します。

ケースを元のように組み立てて完成です。
もともと単四電池3本(4.5V)で動作する商品なので、同等の電源電圧で動かすことができるはずです。

マイクロビットを使って動作確認してみます。


5V系の電源電圧とモータードライバを使いたいので、KEYESTUDIOのモータードライバー拡張ボード「KS4033」を使うことにします。


先ほどつくったセンサ(GROVEケーブル)の「黒」「赤」「白」「黄」の配線を、それぞれ「KS4033」の「G」「5V」「A2」「2」につなぎます。また「KS4033」の電源グランド端子には単三電池4本用の電池ボックスをつなぎます。

マイクロビットのプログラムは以下のとおりです。

「P2」が「Low」のとき、「ねがお」アイコンが表示され、LEDライトは消灯します。
「P2」が「High」になると、「びっくり顔」アイコンが表示され、LEDライトが点滅します。LEDライトは大電流を消費するので、「KS4033」に搭載されているモータードライバをつかって点灯させます。マイクロビットのプログラムではモータードライバの制御信号「P12」を制御します。LEDライトはモータードライバ出力「A2」につながっているので、P12の制御に応じて点灯、消灯を切り替えることができます。

室内を暗くし、人感センサに近づくと、LEDライトがおよそ30秒間にわたり点滅を継続しました。室内が明るいと、人が近くにいても反応しません。
所望のとおりの動作をすることが確認できました。

材料費はたった330円、加工にそれ程手間もかからず、所望の人感センサ+ライトを準備することができました。

今後は、この人感センサ+ライトを「Timer Camera」に取り付けて、小動物の撮影に挑戦したいと思っています。