これまで、電源のない畑でIoTデバイスを常時稼働させるため、いくつかのソーラー発電システムを設置してきました。
設置したソーラー発電システムはこんな感じです。
(1) 50Wパネル+20Ah鉛バッテリー(記事は こちら)
モバイルWi-Fiルータと、状況の応じて何台かのIoTデバイス(最大で3台程度)に電源供給しています。
デバイス群の消費電流値は、平均すると300mA@5V程度ではないかと思います。
こちらは設置してから1年以上たちますが、安定して稼働できています。
(2) 10Wパネル+9Ah鉛バッテリー(記事は こちら)
M5Camera 1台に電源供給しています。
ディープスリープさせながら常時稼働させているので、消費電流値は25mA@5V程度だと思います。
設置してから8ヶ月たちましたが、こちらも安定して稼働できています。
(3) 12Wパネル+7.2Ah鉛バッテリー(記事は こちら)
上記と同等のものを、より安価につくれないかと考えて部材選定したものです。
ESP32でつくったWi-Fi中継機に電源供給しています。消費電流値は130mA@5V程度です。
こちらは、設置してから1ヶ月半程度たちました。バッテリーがへたった状態で設置したため、最初の2,3日は夜になると停止してしまうこともありましたが、それ以降は今のところ安定して稼働できています。
(4) 2Wパネル×2枚+単三型Ni-MH電池×4本(記事は こちら)
材料費を大幅に下げることを目的に考えてみたものです。
ディープスリープしながら一定時間毎に写真撮影するM5Camera 1台に電源供給しています。消費電流値は25mA@5V程度だと思います。
設置して半月ほどが経過し、今後も長期稼働できるか実験しているところです。
さて、畑に設置するソーラー発電システムをつくろうと思うと、どうしても、それなりのコストがかかってしまいます。
特に、架台や収納ボックスなど、ソーラー発電システム本体以外にかかる材料費がバカにならず、上記のシステムでも費用を抑えるためにいろいろ工夫していますが、それでも(1)で 10371円、(2)、(3)で 3851円 かかっています(いずれも、IoTデバイスやそれを収納するケース等、ソーラー発電システム本体、ケーブルなどの電材は除いた費用です)。
(4)は材料費を抑えるためにかなり頑張ったので、642円 と大変安価になっていますが、その分、加工などにそれなりの手間がかかっています。
ところで、これらのソーラー発電システムの写真を見ていただくと分かると思いますが、パネルはいずれも傾斜をつけて設置しています。
ソーラーパネルは「真南向き」に「傾斜30°」で設置すると最大効率で発電できると言われており、これらのパネルもそれに従って、概ね「真南向き」「傾斜30°」になるように設置しています。
ただ、パネルに傾斜をつけられるように架台をつくるには、いろいろと制約があり、どうしてもコストがかかってしまいます。
例えば、水平設置でよければ、それこそボックスのフタにパネルを貼り付けるだけでも良く、コストは大幅に低減できそうですが、傾斜をつけるとなると、そうもいきません。
そんな訳で、ソーラーパネルの傾斜が30°でない時に、どのぐらい効率が落ちるのか調べたところ、こちら の記事を見つけました。
「真南向き」「傾斜30°」での効率を100%とした時、「水平設置」の効率は 89.3% とのことです。
ちなみに、方角が真南から 15° ズレてしまい、かつ傾斜が 10° ズレて 20° になってしまった時の効率は 89.1% と、水平設置の時と同等です。
おまけに、当たり前の話ですが、水平設置なら方角について気にする必要もありません。
水平設置による効率低下が10%程度であること、きちんと傾斜をつけて設置したつもりでも、若干の方角や傾斜のズレで、それなりに効率が落ちてしまうことを考えると、水平設置によるコスト削減はメリットも多いように感じます。
これを踏まえて、今回は、これから畑に設置しようと考えているIoTデバイスのケースをつくってみます。
このデバイスは、一定時間毎に気温などの環境データを測定するもので、ほとんどの時間はディープスリープしているため、非常に低電力です(平均消費電流値は数mA@5V程度に収まると期待しています)。
よって、ソーラー発電システムの構成は、上記の(4)をベースとし、パネル枚数を 1枚 に減らそうと考えています。
Ni-MH電池などもIoTデバイスのケースに収納するので、ケースの上にパネルが乗るだけの、非常にシンプルな構成になります。
これまで、IoTデバイスのケースには、雨漏り防止のために、別途「ひさし」をつけていたのですが、ソーラーパネルを乗せることで、ひさしを兼ねることもできます。
ケースの奥面にはネジ穴がついているため、L字金具などを使えば上面にソーラーパネルを取り付けることができます。
今回は、プラスチック板で、このようなパーツをつくりました。
L字の一方は、ソーラーパネルの裏面に接着剤で貼り付け、もう一方には、私が畑で多用している防水ボックス2種類の寸法に合わせて穴を開けました。
実際にケースに付けると、こんな感じになります。
発電効率を気にしなくてよければ、作成も簡単で材料費も安く(プラスチック板のみ)、実際に設置する際にも細かい角度などを気にする必要はなくなります。
今後、このケースを実際に畑に設置してみて、問題ないか確認してみようと思います。