XYZ PRINTINGの3Dプリンター「ダヴィンチJr. wifi Pro」を使っていますが、しばらく前から調子の悪い状態が続いています。
購入したのは5ヶ月ほど前ですが、購入後3ヶ月ほどたった頃から調子が悪くなってきました。
症状
具体的には、プリント途中に「フィラメントジャグ」というメッセージが表示され、プリントが中断されてしまうようになりました。
プリント品質が悪いという以前に、何回プリントしてみても同じあたりでプリントが中断されてしまい、そもそも造形自体が完了しません。
ノズルのクリーニングなどを行っても、症状は改善しませんでした。
色々と試している途中で、ファームウェアの新しいバージョンが出ていることに気づいたので、ファームウェアのバージョンアップを行いました(1.0.4→1.0.5)。
すると、バージョンアップ前よりも更に状況が悪くなり、ノズルは動いているものの、溶けたフィラメントがノズルの周りにまとわりつくばかりで、全く造形できないような状態になってしまいました。
ここで気になったのは、ノズルの温度です。
私は純正のPLAフィラメントを使用しているのですが、例えばロードフィラメントを実施するとき、以前はノズル温度の上昇は205℃まででしたが、バージョンアップ後は235℃まで上がってしまうようになりました。
温度が高すぎるため、正常に造形できなくなったのではないか? ファームウェアのバグではないか?という気がしてきました。
カスタマーサポートへの問い合わせ
XYZ PRINTINGのカスタマーサポートに問い合わせを行いました。
上記の内容を伝えたところ、まずはフィラメントカートリッジを替えても不具合が再現するか確認してほしいとの回答がありました。
以前使っていて、残量の少なくなったカートリッジが残っていたので、そちらに付け替えてみましたが、やはりロードフィラメントで温度が235℃まで上がってしまいました。
その後、PLAでノズル温度235℃は高すぎる、またXYZ PRINTINGで行った検証でも、同じ状況が再現されたとの連絡があり、本社のファームウェア専門部署にフィードバックしてもらうことになりました。
ただ、運悪く、ちょうどこのタイミングで旧正月に入ってしまい、次の連絡は1週間後になってしまいました。
1週間後に連絡がありました。
PLAでノズル温度235℃になるのは、ノズル詰まりを減少するための対策であり、正常な動作とのことです。
また、「フィラメントジャグ」でプリントが中断した後に、ロードフィラメントを実施し、フィラメントが問題なく出るようであれば、フィーダーに汚れが付着している可能性があるとのことで、フィーダーを掃除してほしいとの連絡がありました。
フィーダーの掃除、ノズルの掃除など諸々を行ったところ、ノズルの温度は高いままですが、とりあえず一旦は、曲がりなりにも造形が最後までできるようになりました。
しかし、少し使っていると、やはり同じ症状が再現するようになってしまいました。
騙し騙し使っていましたが、やはり根本的には直っていないようです。
再度問い合わせたところ、通常はエクストルーダとフィーダーのクリーニングで改善されるはずであり、原因が分からないので、一度プリンターを送ってほしいとの連絡がありました。
ただ、このプリンタは、外装の部分については1年保証ですが、内側は全て90日保証とのことで、今回の件も保証期間外です。
費用について確認したところ、調整/点検料:¥15,000、梱包箱:¥3,800、往復送料:¥6,000で、合計¥24,800(税込¥27,280)もかかってしまうそうです。
ちなみに、
- 購入時の梱包箱を捨ててしまっているので、箱代¥3,800(¥税込4.180、送料込み)が必要
- 保証期間内でも、顧客→メーカーまでの片道送料は顧客負担(購入から14日以内の場合に限り、送料もメーカー負担)
- オープンフィラメント対応機種であっても、他社フィラメントでのノズル詰まりについては保証対象外
とのことです。
修理が非常に高額なので、もう少し自力で頑張ってみることにしました。
まず、「フィーダークリーニング」の詳しいやり方を質問し、このyoutube動画を教えてもらいましたが、私がこれまで実施していた方法と違いはありませんでした。
また、ファームウェアのバージョンを、以前のものに戻すことができないか?聞いてみましたが、それは無理とのことでした。
そんな訳で、フィラメントの設定温度を、自分で色々と調整してみることにしました。温度調整方法について質問したところ、以下の方法で調整できるとのことです。
- ロードフィラメント時:「ロードフィラメント」>「XYZプリンティングノフィラメントヲシヨウシマスカ?」で「NO」を選択すると、次の画面で温度を変更できます。
- 造形時:「XYZprint」で、スライスする前に、「材料(PLA)」>「一般」を選択し、「ノズル1温度」で変更できます。
温度を調整しながら、色々と試したのですが、その結果、結局「エクストルーダ」が、ノズルクリーニングでは取りきれないほど、根本的に詰まっているのではないか?というところに行き着きました。
そんな訳で、エクストルーダを再購入しようと思ったのですが、あいにく現在は品切れで、購入できません。3月下旬に入荷予定とのことです。
止むを得ず、ダメで元々と思いながら、エクストルーダを分解掃除することはできないか?と質問してみたところ、なんと、この資料を頂けました。
別機種のものですが、非常に丁寧に記載されています。これを見ながら実際に分解してみることにしました(分解後のトラブルは有償修理対応になるとのことですが、元々保証期間を過ぎているので関係ありません)。
エクストルーダの分解
まず、分解には「星形ドライバー(T10)」とペンチが必要です。
最初に、エクストルーダのカバーを外します(爪で固定されているので、それを解除して外します)。星形ドライバーを使って冷却ファンも外します。
冷却ファンのカバーも外します。内部はこのようになっています。
上部の継手をペンチで緩めて外します。
センサのネジを外すと、ノズルが外れるようになります。
ノズルを外したら、ノズル上部のキャップをペンチで緩めて外します。
ノズルの中には、樹脂製のチューブが入っているので、これを引き抜き、掃除します。今回はここが消耗しているような感じでした。最終的にはエクストルーダの買い替えが必要なようです。とりあえず、できる範囲できれいにします。
逆の手順で組み立てます。
「エクストルーダの分解掃除」とあわせて、造形時のノズル温度を「210℃」→「220℃」に上げてプリントしたところ、なんとか最後まで造形できました。
当面は、この設定で騙し騙し使っていこうと思います。
今回は結局、根本的な解決には至りませんでしたが、カスタマーサポートの方には、大変丁寧に対応して頂けました。
また、これまでは、3Dプリンタのことを全く理解せずに使っていましたが、今回色々と試行錯誤したことで、3Dプリンタの仕組みなどについても、色々と勉強できました。