中小製造業のIoT事例 23 〜販売後のスプレーノズルをIoTで監視

町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。

今回は、スプレーノズルを販売した後の保守管理のために、IoTを活用している事例を紹介します。


「霧」をつくるスプレーノズルをIoTで監視

背景

大阪市に本社のある株式会社いけうちは、従業員数600名の企業で、「霧」をつくるスプレーノズルを製造販売しています。

「霧」の技術は、加湿や塗布・コーティングなどはもちろん、洗浄、冷房、消毒・消臭など、さまざまな分野で使われています。

長期間にわたり常時使用される分野も多いことから、製品を販売した後のアフターケアやトラブル対応、故障対応が重要になりますが、これまでは定期的な訪問に頼っており、タイムリーな対応ができないこともありました。
過去には、夕方に発生したトラブルに翌朝まで気づかず、設置場所が水浸しになってしまったこともあるそうです。

取り組み内容

トラブルや故障は、迅速な対応が肝心であることから、同社では、販売したノズルの情報を採取するためにIoTを活用し、ノズルの状態を自社から遠隔監視できるようにしました。


具体的には、アナログ2系統、デジタル4系統のセンサ情報をWebサーバに送信することのできるIoTデバイスを開発し、監視用端末から常時監視できる仕組みを構築しました。

通信には、IoT分野に適した「SigFox」という無線通信方式を用いています。

効果

トラブル、故障時には通知が届く他、製品の使用時間も計測し、あらかじめ設定したしきい値に達すると知らせることもできます。
また、顧客の保有している不良率データと、IoTシステムで収集した湿度データを組み合わせることで、湿度と不良率の相関もわかるようになりました。

このような活用方法を積み重ねることで、従来の製品売り切り型ビジネスモデルを脱却し、製品販売後もサービスを提供するような営業スタイルへの転換を目指しています。

ポイント

  • 顧客の課題と自社の課題の両方を解決しようとしている点
  • IoTを活用して、ビジネスモデルや営業スタイルの転換をはかっている点

この事例のように、自社製品の特性に沿ったユニークなIoT活用法を見つけることで、自社製品に新たな価値を付加することができるかもしれません。

 

(出典)

  • 公益財団法人 新産業創造研究機構(NIRO)IoT・AI・ロボット導入補助金事業 成果報告会レポート