先日、乾電池で動くIoTデバイスを畑に設置しました(記事は こちら)。
具体的には、以下のような仕様のものです。
- 「M5Stamp Pico」を使用する。
- 単三形ニッケル水素電池4本で動かす。
- 4個の土壌水分センサの測定値を、15分間隔でAmbientに送信する。
- 測定時以外はM5Stamp Picoをディープスリープさせることで、消費電力を低減する。
- 4個の土壌水分センサの測定値(アナログ値)をM5Stamp Picoに入力するため、8chのADコンバータ「MCP3008」を使用する。
- 土壌水分センサの回路部分はUVレジンで防水処理する。
- マイコンなどはタカチの防水ケースに収納する。
設置の主な目的は以下のとおりです。
- 「M5Stamp Pico」+「単三形ニッケル水素電池4本」の構成で長期稼働できることを確認する。
- 今回実施した防水処理方法(土壌水分センサ、マイコンなど)が問題ないことを確認する。
- 土壌水分センサの設置方向(基板が上向き、横向き)による測定値の差異を確認する。
設置してから約3ヶ月が経過したところで、データが送信されなくなりましたので、デバイスを回収して状況を確認することにしました。
まず、稼働期間については 83日間 でした。
以前調査した結果(こちら)では、「M5Stamp Pico」+「単四形ニッケル水素電池4本」で1分間隔でデータを測定し、7日間 連続稼働できていました。
単四形ニッケル水素電池の容量は 800mAh、単三形は 1900mAh なので、単純計算すると、
7日×(1900mAh / 800mAh)×(15分 / 1分)=約250日
となります。
今回の結果は、上記の机上計算結果に比べるとかなり短くなっていますが、
- 畑のWi-Fi通信環境が不安定なため、自宅での実験に比べてデータ送信1回にかかる時間(Wi-Fi接続時間)が長くなった。
- 使用したニッケル水素電池が古いものだったため、記載どおりの性能が得られなかった。
- 今回の調査は冬季に行っており、気温が低かったため、ニッケル水素電池の性能が悪くなった。
などが原因と思われます。
特にここ数週間は、気温が非常に低い日が続いています。ニッケル水素電池は 0℃ 以下になると充電性能・放電性能ともに非常に悪くなるとのことで、これにより想定より早く停止してしまったと考えられます。
いずれにしろ、電池駆動で3ヶ月近く動いたということで、このぐらい長期間にわたり連続稼働できるのであれば、さまざまな用途に使えそうです。
次は防水処理の状況です。
マイコンなどを入れた防水ケースは、このように雨ざらしの状態で置いていました。
日差しにもあたり風雨にもさらされ、夜間は非常に冷たくなるという、かなり過酷な環境でしたが、3ヶ月間にわたり特に問題なく稼働できました。
ケースを開けてみました。
(開けるときに少し水滴が入ってしまいましたが)水の侵入もなく、良好な状態が保てていたようです。
センサは土中の深さ10センチあたりのところに、回路部分も含めて埋めていました。
掘り起こしてみましたが、特に問題なく、きれいな状態が保たれていました。
この期間中、データも妥当な値が取得できており、センサが壊れたりせず、正常に動いていたことが分かります。
自宅に持ち帰ってから水洗いしてみました。
きれいな状態が維持できています。
水洗い後も、正常に動作しています。
今回の防水処理の方法は、全般的に良かったようです。
最後に、土壌水分センサの設置方向についてです。
今回の測定データは以下のとおりです。
「CH0」「CH2」はセンサを垂直方向(面が横向き)に設置したもの、「CH1」「CH3」はセンサを水平方向(面が上向き)に設置したものです。
中間報告(こちら)の時から状況は変わっておらず、垂直方向に設置したふたつのセンサは、値が大きく異なっています。一方、水平方向に設置したふたつのセンサは、よく似た結果となっています。
また、土中水分の増減の傾向は、いずれの設置方法でも観測できています。
このことから、土壌水分センサの設置方向は、データの再現性が高い水平方向(面が上向き)が良いようです。