〜IoTをはじめるために何をしたらいいの?〜
町工場にIoTを導入したいけど、何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このページでは、そのような方に向けて、IoTってなに?というところから、IoT活用事例や技術面の話まで、IoTに関する基礎知識を、また、小さな工場ではどんなことができる?、導入にあたっての注意点などを、できるだけ分かりやすく説明しようと思います。
IoTってなに?
IoTは、Internet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と訳されます。
さまざまなモノが、人の介在なしにインターネットとつながり、データをやりとりすることで、新しい価値を生み出すのがIoTです。
従来のITでは、パソコンで入力したデータなどを、インターネットを使って共有することで、新しい価値を生み出してきました。そこにモノもつながるようになったのがIoTです。
IoTによって、消費者の生活や、企業の提供するサービス・ビジネスが変わると考えられています。
IoTの活用方法としては、(1)異なる企業との連携、(2)資産の活用(設備の稼働状況を把握して稼働率向上)、(3)データの活用(製品に搭載し、品質向上や新たな価値の提供)などがあり、従来のビジネスモデルを変えることも可能です。
人口減少や高齢化に伴い、さまざまな業種で生産性向上が急務となっていますが、無人化・機械化・自動化の手段として、IT、ロボット、AIなどとならんで、IoTが注目されています。
(IoTについて、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)
よく目にするIoTの例
既にさまざまな業種で、IoTの活用が進んでいます。
有名なIoT活用事例をいくつか紹介します。
- 電気、ガス:スマートメーターによって、家庭での電気、ガスの使用量を自動で検針し、データを自動送信します。検針のための、人の訪問が不要になります。
- セキュリティ:住宅やオフィスを、人感、カメラ、火災、開閉、衝撃などの各種センサで監視し、異常時にはデータを自動送信します。
- 工作機械:自社製品の保守、運用管理を効率化、高度化するために、顧客の工場に設置された自社製品をネットワーク化し、遠隔監視します。
- 建設機械:利用実態や周辺環境などの把握を行い、盗難対策、燃費管理、稼働率管理、障害監視、安全管理などを行います。
その他、事務機、自動販売機、カーシェアリングなど、さまざまなシーンでIoTが活用されています。
(IoT導入事例について、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)
小規模工場ではどんなことができる?
IoTの実現レベルとして、3つの段階があると言われています。
まず、第1段階(見える化)として、モノからデータを収集して分析、可視化し、それを元に人間が改善案を導き出せるようにします。必要なデータを採取するコストや時間が短縮できるだけでもメリットとなります。
次に、第2段階(制御)として、第1段階の分析結果を使って、現実世界のモノ(装置など)に対して、半自動で指示を出せるようにします。
最後に、第3段階(効率改善の自動化)として、第2段階の制御を完全自動化します。制御した結果(モノ)から再度データを収集、このループを繰り返すことで、より高度に最適化(自律化)します。
IoTの究極の目指す姿は第3段階(自律)ですが、現在の取り組みはいずれも、トライアルや第1段階に留まっていると思われます。
このように、現在のIoT実現レベルは「見える化」です。小さな工場での「見える化」の用途としては、工作機械の稼働状況管理、セキュリティ監視(入退室管理、侵入者監視)、エネルギー管理(照明、空調などの最適化)などが考えられます。
工作機械については、異常停止時にアラートを出したり(メール送信など)、稼働履歴を把握することができます。複数の機械の稼働履歴をまとめることで、どの機械がボトルネックになっているか?緊急の割り込みオーダによってどのような影響が出るか?などを把握できるようになります。
(IoTの実現レベルについて、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)
IoTをはじめるときに知っておくべきこと(技術のはなし)
IoTは、必要となる技術分野が多岐にわたります。
IoTを自社開発する場合はもちろん、IoTを他社から導入する場合も、IoTに関わる技術分野に関して、ひととおりの知識を持っておくことが望ましいでしょう。
そんな訳で、ここでは、IoTに関わる技術について、少しだけ説明しようと思います。
IoTは、大きく分けて、「デバイス」、「ネットワーク」、「サーバ」の3つの要素から構成されます。
- デバイス:さまざまなモノからデータを採取し、ネットワークに送る。
- ネットワーク:デバイスから受け取ったデータを、サーバに送る。
- サーバ:ネットワークから受け取ったデータを処理、蓄積、活用する。
デバイス
さまざまなモノからデータを採取し、ネットワークに送るのが「デバイス」です。デバイスの中で、データを採取するパーツである「センサ」には、採取したいデータに応じて、さまざまな種類があります(磁気、光、温度、位置など)。
なお、工作機械の場合、機種によっては、最初からさまざまなセンサなどが埋め込まれており、専用の規格で、データが機械メーカーに送られ、遠隔保守などに活用されています。
機械ユーザが、自社工場内の機械の稼働状況を把握したい場合、機械メーカーに問い合わせ、あらかじめ埋め込まれているこれらのセンサから直接データを取り出すことができれば、最も確実に多様なデータを収集、活用することができると思われます。
ただし、メーカーや業界毎に方式が異なっていると、異なる機械の間でのデータ連携などが難しいかもしれません(一部の旧式の機械のみデータが採取できない、異なるメーカーの機械で同一条件のデータが採取できない、など)。
間接的にデータを採取する場合は、消費電流値、信号灯など表示部の表示内容、駆動部の動きなどを観測します。
ネットワーク
「ネットワーク」には大きく分けて、有線、無線(閉域)、無線(広域)があります。
それぞれの通信方式には、以下のようなものがあります。
- 有線:Ethernet(LAN)、シリアル通信、USB など
- 無線(閉域):Wi-Fi、Bluetooth など
- 無線(広域):インターネット、携帯電話網 など
無線通信技術には、他にも、IoT向けに特化したものなど、さまざまな方式があります。IoTをはじめるときには、自社の用途にとって、どの通信方式が最適かを考える必要があります。
サーバ
「サーバ」は、IoTにおける頭脳の役割をします。
サーバには、以下のように、いくつかの選択肢があります。
- 個別のパソコンやスマホをサーバとして活用するケース
- 社内ネットワークを構築し、そこにサーバを設置するケース
- インターネット環境にサーバを設置(レンタルサーバなど)、またはクラウドサービスを利用するケース
用途、利便性、セキュリティ面の制約など、自社の都合を勘案して、どのケースが最適かを考える必要があります。
(IoTの構成要素について、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)
IoTをはじめるために何をしたらいいの?
IoTを導入する方法として、3つのケースが考えられます。
- 自社開発するケース
- 他社に専用のシステム開発を依頼するケース
- 他社から汎用のシステムを導入するケース
自社開発する場合、IoTは、必要となる技術分野が多岐にわたるため、ハードウエアとITの両方に精通したエンジニア、もしくは、ハードウエア技術者とIT人材の連携が必要となります。
IoTを他社から導入する場合も、IoTに関わる技術分野に関して、ひととおりの知識を持っておくことが望ましいでしょう。
導入の目的(何をしたいのか?)や、費用の面からも、さまざまな調査や検討が必要です。
まとまって説明されている情報が少なく、選ぶのは、なかなか難しいと思いますが、たとえば、こちら のページには、さまざまな企業・団体・個人から提供されている、いろいろなIoTシステムが掲載されています。
ごくシンプルで低価格のシステムから、非常に複雑で高価格なシステムまで、本当に千差万別だということがお分かりいただけると思います。
ここでちょっとだけ、当社の宣伝をさせてください!
当社(MSR合同会社)の提供している「簡易IoTシステム」は、小さな工場に、はじめてIoTを導入するのに特化したシステムです。
前述の導入ケースの中では「他社から汎用のシステムを導入するケース」に該当します(お客さまのご要望に応じて、ある程度のカスタマイズも可能です)。
デバイスでは、明るさセンサを使って、工作機械の3色信号灯の点灯情報を収集します。
明るさセンサを、結束バンドなどで信号灯に取り付けて利用します。工作機械とIoTが、直接つながっていませんので、万が一、IoTシステムの方にセキュリティの問題が生じても、工作機械の方に悪影響を与えることはなく、セキュリティ面でも安心です。
ネットワークとしては、一般の方に最もなじみのある「Wi-Fi」を使います。工場にWi-Fiルータが設置してあれば、当社のシステムを利用できます。
(設置場所にWi-Fiルータがない場合の対処法は こちら。)
サーバは、インターネット環境に設置していますので、いつでもどこでも、機械の稼働状況を確認できます。
データはパスワード管理されていますので、基本的には、他者にのぞき見られることはありません(ただし、パスワードが漏洩してしまうと、他者に見られてしまう可能性がありますので、機械の稼働状況が漏洩すると困るような用途には、おすすめできません)。
このように、当社システムは、分かりやすい技術を使って構成されており、専門知識がなくても導入しやすくなっています。
本システムの使用料金は以下のとおりです(2022年6月現在。料金は今後変更する可能性があります)。
- 初期費用:IoTデバイス1台あたり28000円(税込30800円)
- 月額料金:基本料金5000円(税込5500円)+IoTデバイス1台あたり3600円(税込3960円)
[例] IoTデバイスを3台使用する場合:初期費用28000円 * 3台 = 84000円(税込92400円)、月額料金5000円 + 3600円 * 3台 = 15800円(税込17380円)となります。
初期費用は非常に安価です。また、月額料金制で、いつでも解約できますので、「IoTがどんなものか、一度試してみたい」というような用途にピッタリです。
収集・蓄積したデータは、CSVファイルとしてダウンロードできますので、途中で解約したとしても、それまでに収集したデータは、Excelなどで活用できます。
(当社の「簡易IoTシステム」について、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)
お問い合わせは こちら までお願いします。
導入にあたっての注意点
IoTを導入できない企業は、
- 現状を良しとしている企業(変化の必要はないと考えている企業)
- 最初の一歩を踏み出せない企業(課題はあるが、ITへの理解度が低く、IoTが打開策になると考えていない企業)
- 開発環境を外部に公開したくない企業
といわれています。
しかし、これからの時代は、主体が「モノ」から「コト」に変わっていきます。「コト」に価値がうつり、「モノ」は「コト」を実現するための単なる手段となります。ビジネスモデルが変わってしまう可能性もあり、トップの頭の切り替えが必要となります。IoTは「コト」を生み出すきっかけとなり得るため、今のうちから、IoTについて理解しておくことに意味があります。
「百聞は一見に如かず」といわれるように、まずIoTを導入して、メリットや可能性を実感してみるのも意義のあることです。
また、IoTはスモールスタートが可能ですが、一過性ではなく、継続した取り組みが重要です。すぐには効果が見えにくく、社内の評価も高まりにくいため、取り組みを継続するにはトップの強い意志が必要です。
(注意点について、さらに詳しく知りたい方は、こちら をご参照ください。)