中小製造業のIoT事例 12 〜最新技術で鉄道メンテナンス業務を効率化

町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。

今回は、製造業の事例ではありませんが、将来の労働人口の減少を見据え、IoTを用いて効率化・生産性向上に取り組んでいる事例を紹介します。


最新技術で鉄道メンテナンス業務を効率化

背景

近畿日本鉄道では、線路の点検作業を、運転終了後の深夜に、作業員が歩きながら確認したり、専用車両を用いたりして行ってきましたが、点検に携わる作業員の高齢化が進んでおり、今後の人材確保が課題となっていました。

取り組み内容

これを受けて、同社は、新型の軌道検測装置を導入しました。

新型軌道検測装置は、既存の営業車両の床下に搭載し、運行中にレールにレーザーを照射して、線路のゆがみを検測するものです。検測したデータは、無線によってリアルタイムに伝送され、線路のメンテナンスに活用されます。
計測できる項目は、「左右レール間の幅」、「左右レールの高さの差」、「レールの左右のゆがみ」、「レールの高さのゆがみ」、「平面性」です。

効果

営業列車で検測を行うため、高頻度の検測が可能となります。これにより、タイムリーに線路の補修を行うことができるようになり、乗り心地の向上に繋がります。また、無人で検測できるため、検測作業の省人化・省力化を図ることができます。

ポイント

  • 目的を明確化して、それを実現すべく手段を具体化している点。
  • 既存の営業車両に搭載することで、計測の高頻度化と省人化を両立している点。

これまでの点検作業は、約20人の作業員が、3ヶ月〜6ヶ月に1度のペースで実施していましたが、新型軌道検測装置の導入により、計測の頻度が飛躍的に高くなり、より的確なメンテナンスができるようになります。

このように、IoTを活用することにより、これまで当たり前のように行ってきた業務のスタイルを、根本的に変えることができる可能性もあります。

ちなみに、当社の簡易IoTシステムでは、装置の稼働状況を簡単に取得できるので、見える化を実現し「IoTが何たるか」を実感するのにオススメです。

当社の簡易IoTシステムは導入も非常に簡単なので、まずは一度導入してみて、IoTの本質や有効性を理解した上で、業務改善の取り組みを、より深く進めていくのも良いのではないでしょうか?
(簡易IoTシステムについては こちら へ)

 

(出典)

  • 近畿日本鉄道株式会社ニュースリリース(2019年6月21日)
  • 朝日新聞「人の代わり 自動で」(2019年6月27日)