中小製造業のIoT事例 13 〜設備の故障予兆と生産コストのムダを見える化

町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。

今回は、これまで熟練技術者による属人的な業務であった「生産設備の故障予兆検知」を、IoTを用いて自動化しようとする取り組みについて紹介します。


設備の故障予兆と生産コストのムダを「見える化」

背景

日本トーカンパッケージは、段ボール・紙器を中心に、多様な包装容器を製造しています。

段ボールは受注生産方式で製造され、なおかつ短納期を希望する顧客が多いため、わずかな生産設備のトラブルでも納期遅れにつながります。
そんな訳で、生産設備の保全が非常に重要になりますが、設備保全は熟練技術者による属人的な業務となっており、技術継承が進まず、リスク管理の面でも問題となっていました。
そのため、生産設備の異常の早期発見を「誰でも」、「どこからでも」可能とし、トラブルを未然に防止すべく、故障予兆検知の実現が求められていました。

取り組み内容

このため同社では、製造の主要機器にセンサを取り付け、設備の状況を「見える化」することにしました。

具体的には、段ボール製造において特に重要な「コルゲーター」という装置に対して、メインとなる3つのモーターに、「温度」、「振動」、「電流」を測定するセンサを取り付け、1分毎にクラウドにデータを送信する仕組みを構築しました。
通常動作時に比べて値が大きく変化した時に、アラートをあげることで、トラブルを未然に発見し、装置を停止させなくてよいようにしています。

効果

収集したデータを確認することで、故障予兆の検知以外にも、不要なアイドリング運転のムダがわかり、コスト削減につながるなど、「見える化」による効果が出てきています。

今後は、センサのデータと設備機器の制御情報を組み合わせて分析することで、異常を自動的に発見する予兆保全システムの構築に挑戦していきます。

ポイント

  • 属人的な業務を「誰でも」、「どこからでも」実施可能にした点。
  • 当初の目的(故障予兆検知)以外の効果(コスト削減)も得られている点。

このように、IoTを使ってデータを収集し、それを分析することで、属人的な業務を自動化できる可能性もあります。

ちなみに、当社の簡易IoTシステムでは、装置の稼働状況を簡単に取得できるので、見える化を実現し「IoTが何たるか」を実感するのにオススメです。

当社の簡易IoTシステムは導入も非常に簡単なので、まずは一度導入してみて、IoTの本質や有効性を理解した上で、業務改善の取り組みを、より深く進めていくのも良いのではないでしょうか?
(簡易IoTシステムについては こちら へ)

 

(出典)

  • KDDIのIoT 活用事例「IoT × “工場” × KDDI」