中小製造業のIoT事例 24 〜現場の課題を洗い出して整理、対策を具体化

町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。

今回は、製造現場の課題を洗い出し、それらをグルーピングすることで有効な対策を見出した取り組み事例を紹介します。


製造現場の課題を洗い出し、グルーピングして対策を検討

背景

東大阪市にある中辻金型工業は、従業員数20名の企業で、金型設計製造、金属加工などをおこなっています。

同社では、少子高齢化により働き手が減少していく中で、「作業を簡略化したい」、「生産以外の現場作業を極力なくしたい」、「人にしかできない仕事に集中できる環境を作りたい」、「残業時間を減らしたい」というような問題意識を持っており、このような問題に早く対応しないと、将来的には大変なことになるという危機感がありました。

取り組み内容

対策として、まずは「製造現場の課題」を洗い出しました。

次に、洗い出した課題について、似ているもの同士をグルーピングしました。

その次に、グルーピングした課題を、どのようにすれば解決できるかを検討しました。

検討の結果、「現場と生産管理で即座に情報共有する」、「現場での書き物や入力作業をなくす」ことができればよいことが分かり、実現手段としてIoTを活用することにしました。

具体的には、タブレット端末で操作できる生産管理システムを導入し、タブレット端末を製造現場に設置し、少ない操作で情報入力できるような仕組みを整備しました。

効果

システムを導入したことにより、現場での書き物などがなくなり、残業時間が40%減少しました。

また、タブレットでの情報入力作業は、1ヶ月程度で作業者全員ができるぐらいまで浸透しました。

ポイント

  • 課題の洗い出し→グルーピング→解決策検討と、目的を明確化して取り組んだ点
  • 現場作業者にも取り組みやすい方策を採用した点
  • 完全な自動化を目指さなかった点

同社は、自社の課題を解決したいという問題意識から取り組みをスタートし、対策を検討する中でIoTにたどり着きましたが、この取り組みの流れが理想的です。

IoTでなにができるかを考えるのではなく、自社の課題を解決する手段を考え、手段としてIoTを活用するというのが、IoT導入を成功させる秘訣と言えます。

 

(出典)

  • ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO)「IoTリーンスタート!セミナー資料室」