中小製造業のIoT事例 4 〜iPodで稼動データ取得

町工場にIoTを導入したいけど、そもそもIoTで何ができるのか、IoT導入のために何をしたらいいのかわからない、という方も多いと思います。
このブログでは、そのような方に向けて、さまざまな分野から、IoT導入事例をいくつかピックアップして、紹介していこうと思います。

今回は、IoTを活用した生産管理システムを手作りし、そのシステムの外販にまで取り組んでいる企業を紹介します。


IoT活用の「見える化システム」を自社開発、外販まで

背景

青梅市にある武州工業株式会社は、従業員数160名の企業で、自動車用金属加工部品などの製造をおこなっています。

自動車産業やエレクトロニクス産業が、ライン生産からセル生産方式に移行し、大量生産から多品種少量生産へと変革する中、同社も多品種小ロットの生産に対応するため、さまざまな取り組みをおこなっています。
その中で、20年程度前から、生産管理を中心とした統合管理システムを構築し、生産管理のデータ化をおこなってきました。

取り組み内容

同社では、このシステムをさらに発展させ、各種データを「リアルタイムで棚卸し」できる仕組みを構築しました。
具体的には、iPod Touch等のスマートデバイスや、Raspberry Pi等の廉価な機器を活用して、機械の稼動データを取得し、それを統合管理システムに組み合わせ、「見える化」を実現できるようにしました。

なお、この仕組みは、システムエンジニアとして入社した社員が、実際に製造現場を経験し、現場を熟知した上で開発しました。

また、IT関連企業などと連携して、この仕組みの外販に向けた取組も開始しました。

効果

この取り組みにより、現場作業者は、例えば自身の作業について、目標と実績の差が分かるようになり、作業のペースメイクができるようになりました。
また、経営者も、従来は現場に行かなければ分からなかった現在の作業状況を、遠隔からリアルタイムで管理できるようになり、リアルタイムで経営改善ができるようになりました。

「見える化」により、どのような理由でどれだけ機械が停止しているのかを分析できるようになり、作業効率を改善、生産性を約20%向上させることができました。

ポイント

  • 社内エンジニアが「欲しいもの」、「必要なもの」をシステム化、廉価なスマートデバイス等も活用することで、自社にあったIoTの仕組みを作った点。
  • 現場発のノウハウを、各社と連携して外販にまで発展させた点。

同社は、ITやIoTに関して、積極的な取り組みをおこなっていることで有名な企業です。
本事例では、システムを開発する設計者が、現場を熟知し、「欲しいもの」、「必要なもの」を明確にすることで、自社に最適化したシステムを効率的に作ることができる、ということを示しています。

ちなみに、当社の簡易IoTシステムでも、装置の稼働状況を簡単に取得できるので、「現場の状況を客観的に把握」、「IoTが何たるかを実感」するのにオススメです。

当社の簡易IoTシステムは導入も非常に簡単なので、まずは一度導入してみて、IoTの本質や有効性を理解した上で、業務改善の取り組みを、より深く進めていくのも良いのではないでしょうか?
(簡易IoTシステムについては こちら へ)

 

(出典)

  • 経済産業省 関東経済産業局「中小ものづくり企業IoT等活用事例集」
  • 東京都中小企業振興公社「生産性向上のためのIoT、AI、ロボットの導入支援事業-製品導入事例」